2015年11月16日月曜日

第2話 「成長の実感→子どもの意欲」(花まる:前原)

今回は、朝の時間に行っている「花まるタイム」で見られた、子どもの様子について、紹介させていただきます。

~「花まるタイム」について~
〇週に4回、朝の始業前15分の時間を使って、花まるの教材・メソッドをふんだんに生かした授業を、各学年・各クラスで行います。以下の内容で進めていく授業に、子どもたちは生き生きと取り組んでいます!

    音読・・・四字熟語や古典などの音読を行います。日本語の語感を養うとともに、授業の最初に声を出すことで、気持ちを発散させるねらいもあります。

    図形パズル・・・「キューブキューブ」というブロックや、「パターンメーカー」という紙のパズルを使って、出された問題の形を作ります。立体・平面認識の力を養うことがねらいです。

    計算・・・各学年、学習指導要領に沿って作られた、花まる学習会の教材「サボテン」を使用して、計算に取り組みます。基礎計算の力を養います。

    視写・・・花まる学習会の教材「あさがお」を使用して、お手本の文章を、「正しい姿勢、正しい鉛筆の持ち方」で、「テキパキと写して」いきます。人に読める字で書くことはもちろん、書き漏らし・書き間違いのないよう、テンポを意識して書き写していくことで、集中して文を読むことへとつなげていくことをねらっています。


「花まるタイム」の教材について、一度「どの教材が楽しいか」を、子どもたちに聞いてみたことがあります。一番人気があったのは予想通り「キューブキューブ」というブロックを使ったプログラムでしたが、子どもたちの声を聞いていると、意外にも「計算」教材の人気が高いことに気が付きました。

 なぜ「計算」教材が人気なのか…。一つ思い浮かんだのは「日々自分の成長を、自分で感じられるから」ではないかな、ということでした。こう感じた理由として、「計算」教材の進め方が大きく影響しています。

    「計算」教材は、学校の授業で習った単元の復習になるようにカリキュラムを組んでいます。時間がたって習ったことを忘れてしまう前に、すかさず、繰り返し復習をすることで、定着度が増します。なので、忘れる前にすかさず復習が繰り返しできるので、定着度が増します。

    「計算」の時間はもちろん、「花まるタイム」全体で子どもたちに伝えていることとして、「周りと比べるのではなく、自分との勝負」という考え方があります。これは、「花まる学習会」でも大切にしていることでもあります。子どもたちは、前回より自分がどれほど伸びてきているのかがすぐに分かるので、毎回達成感を得ながら、または「次頑張ろう!」と意欲を燃やしながら、取り組めています。

以上2つがあるから、子どもたちは「自分が伸びている・力をつけている」⇒「達成感があって、楽しい!」という考えになっているのではないかと思っています。


ただ、「計算が少し苦手だなぁ」と思っている子がいることも確かです。その子たちにとっては、「計算教材」が辛いという時もあるかもしれません。特に「周りの目を気にする」「計算が複雑になる」「『めんどくさい』気持ちが芽生えてくる」高学年ほど、その傾向が出てきます。それでも、いやだからこそ、根底にある「サボテン」の考え方を大事にすることが、すべてのスタートなのだと思います。

5年生のある女の子、計算への苦手意識が強く、1問を解くにも、心が折れてしまいそうなこともある子です。ただ、その子が「整数×小数」の横式計算の「サボテン」の回で、その子なりの成長を見せてくれた場面がありました。

私がはじめに見たときは、その女の子は半分も解き終わりませんでした。また、計算に向き合う彼女のモチベーションも低いようにと見て取れたので、担任の先生ともそれらのことを共有しました。ただ、数日後その子のサボテン冊子を見に行くと、彼女の解く問題数が日に日に増え、正答数も増えていました。この彼女の変化が気になり、翌日彼女がサボテンを解くのを見に行きました。見ると、彼女なりに工夫して計算をしようと問題に向き合っており、それが3分間持続していました。またそれ以上に丸つけが終わったあと、「昨日より1問丸が増えた」と、嬉しそうでした。

彼女の変化は、もちろん彼女が努力した賜物です。しかし、それを後押ししたものは、紛れもなく「周りと比べない、自分との勝負」という「計算教材」が持つ考え方が教室に定着していることではないかなと思いました。このクラスでは、「計算教材」終了後、「昨日の自分に勝てた人?」と子どもたちに聞いています。そのことで、周りと比べてあせることなく計算に向き合うことができる。それが、女の子の成長をもたらしたのだと思います。

今もその子は日々の計算教材に悪戦苦闘していますが、前回の自分と比べて成長が感じられた時はやはりうれしそうです。先日、私が5年生のクラスの「花まるタイム」をサポートしていた時のこと。サボテンを解いたその子は、「先生、昨日より2問も多く解けた!」といい笑顔を見せてくれました。

花まる学習会が公教育の現場でできることの1つに、この「サボテン」の事例のように、「人として、学習をしていく上で、本当に大切なこと」を伝えていくことがあると思っています。少しずつ、それが花まるタイムという限られた時間だけでなく、教室全体で、学校全体で広まりつつあるのは、本当に大きなことです。


「計算教材」の考え方を通して、「周りと比べるのではなく、自分の中で成長することが大事」という気持ちが芽生える、結果的に自己肯定感を育んでいくのだな…、と目の前の子どもたちを見ながら、その変化を楽しみにしています。

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