2016年1月20日水曜日

第5話 「先輩のかっこいい背中」 (花まる:前原)

 突然ですが、皆さんは、小さい頃、何かに憧れた、憧れに向かって何かに取り組んでみた、という経験がありますか?
 
 私は思い返してみると、様々な憧れがあったのですが、小さいもので言うと、「かけっこの速い2つ年上の近所のお兄さん」への憧れがありました。スタートで転んでしまい、大幅に遅れをとっても、ものすごいスピードで前の走者たちを抜き去っていき、1位をもぎ取っていくそのお兄さんの姿。「あのお兄ちゃんみたいに、ぼくも速くなりたいな~!」と思って、学校の行き帰り、たくさん走っていたことを、今でも覚えています。

 話は変わるのですが、昨年の9月に施した」にて、「先輩の姿から学ぼう」と頑張るある男の子がいたので、そのことを紹介いたします。
その「青空教室」では、「言ライタ」というプログラムを行いました。

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~「言ライタ」とは?~
(簡に言う・・・
制限時間に、「用意されている」を似して、各班協力して描いていくプログラムです。

(流れ

1 班を二つに分け、さらに分かれたチ、「『メッセンジャ』チ」と「『ライタ」に分かれます。
2 ル
●「メッセンジャ」チムのル
    お題のを見に行きます。ただし、見た情報はメモをすることはできません。
    「ライタ」チムに見た情報をます。えるときに、「詳しくえられているか」がポイントです。
    「メッセンジャ」チムは、描くことができません。
    途中で、を見に行けるのは「メッセンジャ」チムのみです。
●「ライタのル
    「ライタ」チムは、「メッセンジャムからえられる情報をもとに、模造紙にを描いていきます。描くときには、マ使って、色も塗る必要があるものは、しっかり色を塗って描きます。
    「ライタ」チムは、見に行くことはできません。

    「メッセンジャ」チムかえられる情報はたくさんあるので、で手分けして描いていきます。
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このプログラムのねらいの1つに、「相手に自分たちのイメジしていることを、どうやったらわかりやすく、また相手が再現できるようにえられるかえる力を養う」ことがあります。自分の考えを相手にわかりやすくえる、ということは、意外に難しいことです。相手にとってわかりやすくえるためには、どんな情報を、どんな表現でえるといいのか。子どもたちは、「人へのえ方」を試行錯誤しながら、しく考えている姿をたくさん見せてくれました。


※上の絵がお手本、下が子どもたちの作品の一つです。漏れなく描けていることが分かりますね!









ある1年生の男の子と6年生の女の子がメッセンジャーチームになり、2人で絵を見に行っていました。彼の目には、「魚がいて、その目の色が白色」という情報だけが入ったのか、猛ダッシュでその情報だけを持ち、班の子どもたちにえていました。プログラムはまだ始まったばかりの時間に、しかも非常にピンポイントな情報が班に入ってきたのです。想像できると思いますが、その細かい情報だけでは、も描きづらいです。班の子どもたちは惑っていました。その時、一に行った女の子が遅れてってきました。彼女が持ちった情報は、「魚が5匹いて、どの魚も色がで、目の色が白だった。5匹とも左上にいた。」というものでした。先にってきた男の子と同じ魚を見ていたのでしょうが、細かいところまでえてくれていました。もちろん、班の子達の筆は進みます。
 
細かく、上手にえていた女の子の姿を見ていたその男の子はどうするのかな?と思い、私はそこから男の子の追跡を始めました。また女の子と一を見に行き、そしてまた女の子よりも早い段階で班にました。 
同じ事の繰り返しになるかな?と、少し不安に思っていましたが、その不安は杞憂に終わりました。「右上にも魚がいて、それは中がくて・・・」と、彼の口からは、さっきの6年生の女の子の伝え方を真似しようとした言葉が出てきました。もちろん、6年生の女の子のように、細かい情報をたくさんえられるわけではないので、すぐに「また見てくる!」と急いでっていきました。その後も、6年生の女の子と同じクオリティでえられたわけではないですが、始めに情報をえた時より、聞いた人が書きやすくえようと頑張る姿をたくさん見せてくれました。
「もっと、細かく見てきなさい」と口で言うことは簡です。ただ、子ども達にとっては、「誰かがうまくやっている姿」を見た方が真似しやすいものです。また、広く細かく見てきた子の情報伝達が成功している姿を見て、「うまくいって楽しそう!」と思えるはずです。そして、うまくいくために、それぞれが主体的に考えながら、試行錯誤して、少しずつできていくのだと思います。

「いいこと」「しいこと」「かっこいいこと」を似したくなる、やりたくなる、そのために主体的にんでいくから、子どもたちは成長するのだなぁ、と改めて感させられました

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※現在、花まる学習会のメソッドを取り入れて、武雄市や長野県の北相木村で定期的に行われている「青空協室」は、出張授業も行っております。
(仲間と協力して課題解決を目指すという狙いを、より深く追究するため、「青空教室」から「青空協室」へ、今後名称を変更します。)

出張授業は、「年間○回」という定期的実施の形でも、宿泊教室などのプログラムの一つとして単発で実施する形でも可能です。ご希望次第で相談させていただきます。
「野外での学習プログラム」にご興味のある方は、以下のアドレスまで、ご連絡をいただければと思います。

お問い合わせ先:s-arai@hanamarugroup.jp(担当:アライ)
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2016年1月11日月曜日

第4話 「みんなで学ぶ、みんなで支える」(花まる:前原)

皆さま、あけましておめでとうございます。
本年も引き続き、「武雄からこんにちは」を通して、武雄の現場で起きていることを発信していきます!今後もご覧いただければ幸いです。

武雄で「官民一体型学校」としてスタートしている学校で、週4回朝に行っている花まるタイム。その時間は、学校の先生のみならず、「地域のおじいちゃん・おばあちゃん」「保護者」が教室に入って、子どもたちのサポートをしてくださります。地域の方々は、子どもたちと一緒に「四字熟語」や「古典」を音読したり、一緒にブロックに挑戦したり、子どもたちが「計算」「視写」を行っているのを見守ってくれたり、「頑張ったね」とコミュニケーションをとってくれたり…。地域の方々が、学校での子どもの学び場に積極的に入ってくださることは、非常に画期的なことです。

文部科学省でも「学校支援地域本部事業」を推進させており、地域で学校・子どもを支えていく体制を整えていこうという流れになってきております。全国約1800もの市町村の中で、26年度12月段階で600超の市町村が支援本部を設置しているという実績も出ております。その「学校支援地域本部」の活動内容は、「昔遊び体験」「職場体験」、「交通指導ボランティア」など多岐にわたっています。

ただ、武雄で現在「学校支援地域本部」の活動の一環として行っている「花まるタイムへのサポート」は、他の活動内容と少し異なる点があります。それは、「地域の方が毎日学校に入ることのできる環境がある」点です。地方では、学校活動と地域のつながりは存在します。例として運動会をあげるなら、地域の運動会と合体し、学校の運動会が町民一体で盛り上がる場となっているケースもあります。しかし、つながりは頻度、つながる回数が多ければ多いほど、また濃密になればなるほどいいものです。
また、単に授業を通して子どもと地域の方のつながりを深めるだけではなく、学校の先生と地域の方々、地域のおじいちゃん・おばあちゃんと保護者…と、様々なつながりを生み出すこと、つまり学校が地域のつながりの中心になる可能性が、この「花まるタイム」サポートには隠されています。

もちろん課題もあります。例えば「朝の時間、保護者は忙しくて、また共働きであるがゆえに、参加が難しい」という意見があがってきます。一方で、「保護者が参加しないと!」という意見もあがったことがありました。それらの声はごもっともなこと。大切なことは「強制感を与えない」「できる人が頑張る」「難しい人は他の面で大活躍してもらう」というサポートの柔軟性を共通認識として持っておくことです。

こちらは、「青空教室(※1)」という授業に、保護者の皆さんが参加してくださった時の写真です。子どもたちに負けず、「大人の本気」を見せてくださる保護者の皆さんの姿は、子どもたちの目にものすごく印象的に映ったようです!また、参加してくださった保護者の皆さんも、授業を満喫してくださったようで、「また子どもたちと参加したい!」と話してくださいました!

※1「青空教室」
異学年・男女混合の「縦割り班」の中で、コミュニケーションを取り、意見をまとめながら、問題を解決するプログラムを多数用意した授業です。「多様性を受け入れる心」、「自分の意見を言葉にして、相手に伝える姿勢」、「みんなで問題を解決していく楽しさ」などを、子どもたちが体感し、学べるような授業を行っています。



「町の子は町でしっかり育てよう」、ある協議会長さんがおっしゃっていた言葉です。家庭や学校だけが子育てをするのではない、町にいる人が、小さなことでも、できることから子どもたちに還元していく。「花まるタイム」サポートが、「学校=地域のつながりの中心地」「学校=子育て応援の中心地」として機能するきっかけになるよう、活動の更なる発展に努めていきます。