2016年8月8日月曜日

第15話 「武雄初!保育園での青空協室 」 (花まる:前原)

729日に、武雄市立朝日小学校(今年度より官民一体型学校となった学校)のとなりにある、「あさひ保育園」にて、年長クラスのお泊り保育のプログラムの一環で、青空協室をさせていただいた。
きっかけは、懇意にさせていただいている、あさひ保育園の園長先生との会話から。

「せっかくとなりの小学校で花まるのメソッドを取り入れているのだから、保育園でも少し体験させて、子どもたちに『小学校が楽しみだ!』と思ってもらいたい。また、園の保育士たちにも、『今小学校でやっていること』を知ってもらうことは、今後の保育にもつながっていくと思う。」

現在、武雄市では、「幼保小連携」の強化が進められ、幼稚園の先生、保育園の保育士、小学校の教員での合同研修や、相互参観はもとより、日常生活レベルでの連携がより図れないか、各現場で協議がされている。もちろん、日常レベルでの交流(3年生と年少さんの交流や、5年生と年長さんの交流など)を行うことによって、子どもたちのつながりは作られていくだろう。ただ、この「幼保小連携」では、教員や保育士が、現場で主体的に頭を働かせ、子どもに触れ合わなければ、互いの現場で大事にしていることは、身に染みないと思う。
この視点からも、学校で行っている花まるメソッドを生かした青空協室を、保育園の年長さんでも楽しめるような運営方法・内容でやってみる、ことには非常に意味があると思い、実施をしてみた。
青空協室は、もともと「16年生までの子どもたちが、男女混合で構成された縦割り班ごとに分かれ、五感をフルに使い、チーム内でコミュニケーションを取りながら、チームで課題を解決していく」活動である。
体を動かして表現をしてみたり、あらゆるところまでものを探してみたり…ということに関しては、園児のほうが、小学生以上に何の抵抗感もなくやれてしまうだろうという期待は大きかった。一方で「自己主張がまだまだ強い5~6歳の年代で、集団での活動はできるのだろうか…」という考えがなかったわけではないが、「集団」は小学校に入れば、通ることになる道であるので、体験を通して、「集団で何かをする楽しさ」を肌で感じてほしい、そう思い、小学生同様に「集団でやる」こともメインの目的の一つとした。

当日行ったプログラムは以下の3つ。
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「聖徳太子!」…チームを2つに分け、言葉を話す側と聞く側に分かれる。話す側には「2文字」の言葉を割り振る。数メートル離れたところに立つ、聞く側の子どもたちの耳に届くように、元気な声でチーム一斉に読む。ほかのチームも一斉に読むため、聞く側は耳だけでなく、口の動きを見る工夫や集中して聞くことが求められる。

「形さがし!」…こちらが指定した形(しかくやさんかくなど)を園庭からたくさん探してくる。ほかのチームよりもより多く探せるよう、チームで動きながら、日ごろ活動している園庭を様々な角度から見てみる。

「なりきりモーション!」…班ごとに割り当てたお題(動物園や水族館)の一場面を、班で役割を決め、演じ切ってもらう。「こう演じればいい」という答えがない中で、どう演じればわかりやすいか、また見ている人が面白いと思えるのか、突き詰めれば突き詰めるほど、面白さが増すプログラム。
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じゃ~ん!ゴザは広げると四角になるよ!
この発想には驚きです!
や③では、保育園の子どもたちは、小学生や大人にはなかなかない視点で園庭を見つめたり、場面を演じたりしていた。
 子ども達なりの考えを表現したり、発揮したりする場となり、みんな「やりきった!」という達成感を持った様子だった。

特にでは、自分が演じているものを、見ている子どもたちにあててもらえることで、嬉しそうに「正解!」と言ったり、「OK!」と合図を出したりと、受け止めてもらえた感動が、子どもたちの顔からたくさんこぼれていた。


では、「集団活動」という面においては、どういう様子を見せてくれたか。
それもこちらの考えを裏切る形で、子どもたちは頑張ってくれていた。
1つ目のプログラムの「聖徳太子!」にて。とある班が、自分たちの班に配られた紙を見ながら、小さな円になって集まり、小さい声で「~~!」とそろって読む練習をしている。班に一枚、紙を配ると、「ぼくが持つ!」「わたしも見たい!」といざこざが起きるのだが、この班はみんなで見られるように、また練習をできるように、工夫をしている。
私がすかさず「〇〇チームは、何やらみんなが見られるように、集まっているね!練習もばっちり!チームワークがばっちりだね!」とみんなに聞こえるように言うと、他のチームも真似をしてくる。次のお題になると、今度は自分たちから集まってみようとする。私からは、「どのチームもみんなで見られるように工夫をしているんだね!すごいなぁ!」と、頑張りを認める。そうなると、2つ目の「形さがし!」でも、チームで探す、動くという様子が行動に表れてくる。
もちろん、まだまだ周りの子の話を聞いてあげる、周りの子の話をさえぎって話はしない、など、これから視野が広くなったり、他者性が育ったりする中で、身につけてほしいこともあるのだが、まずは「チームのみんなと楽しめたなぁ!」という感覚をもって帰ってもらうことはできた時間だと思う。
  後日、園の先生から反応を伺ったのだが、「保護者さんたちからも、『本当に楽しかった!ということが、子どもたちの言葉だけでなく、表情からも伝わってきました!』と好評の声がありました!」という報告や、「私たちでは考えつかないような、また普段は見られないほど考えている一面がたくさん見られて、よかったです!」という声など、好評の声が多数。来年も是非とも!という声が、早速出てきている。ありがたい話である。

 今回のように、小学校でやっていることを、保育園でもできるよう、その年代に合った形と難易度に変更して、やってみる。我慢のできる小学生と異なり、興味が次から次に移ってしまう園児相手であると、苦労することもたくさんあるだろう。ただ、今回のような実践を通して、先生たちからも「またやりたい!」という声があがっていることは大きなことである。何より、活動中の子どもたちと先生方が躍動している姿がたくさん見られたことは、やらせていただいた立場として、非常にうれしかった。今後もこのような活動を増やしていきたいと思っている。