2016年10月28日金曜日

第19話「『官民一体型学校』、武雄市全11小学校に広がります! (花まる:前原)

10月27日(木)、武雄市と弊社「花まる学習会」が提携して行っている「官民一体型学校」の取り組みについて、平成29年度以降の指定計画が発表されました。

■「官民一体型学校」武雄花まる学園の指定計画
・平成29年4月 西川登小学校
・平成30年4月 山内東小学校、山内西小学校、北方小学校
・平成30年10月 武雄小学校
・平成32年4月 御船が丘小学校

平成26年10月に、同市立武内小学校と東川登小学校が初の「官民一体型学校」の指定を受けて、取り組みがスタートしてからちょうど2年。武雄市の全小学校での実施が決まったことは、花まる学習会として、本当に嬉しい限りです。

学習塾が、学校の中に入り、「学校で長い間貯めてこられたノウハウ」と「塾のノウハウ・メソッド」をミックスさせながら、学校の取り組みをよりよい方向へ発展させていくことは、易しいことでは無いと思っております。
ただ、武雄市の小学校の先生方は、この取り組みに対して、本当に前向き取り組んでくださり、各学校で少しずつ独自の取り組みへと発展が進んできております。
また、地域の方々のご理解があり、積極的に協力してくださること、発展の大きな原動力となっています。
「学校のことは学校に任せる」ではなく、「町の子どものことは、保護者・学校だけでなく、町民全体が関わり、小さいことから実践を積み上げていく」という姿勢。武雄市の皆さんが、このスタンスで動いてくださっていることは本当に素晴らしく、この姿勢があるからこそ、全国に誇るべき取り組みへと着々と進化してきているのだと思っております。

すでに先行して取り組んで下さっている武内町、東川登町、朝日町、橘町、若木町の皆さん、各町の学校を一緒に盛り上げてくださり、本当にありがとうございます。
来年度からスタートする西川登町、再来年度以降本格的に取り組みがスタートする山内町、北方町、武雄町の皆さん、たくさんご協議を重ね、町として決断していただいたこと、本当に感謝しております。

 武雄市の子育て環境が、さらによりよいものへと発展していけるよう、今後も努めて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。


2016年10月26日水曜日

第18話 「これまで」と「今」をつなげる (花まる:前原)

  官民一体型学校の一つとして、今年度よりスタートした「武雄市立橘小学校」にて。
 約1ヶ月ぶりにこの学校の、朝の「花まるタイム」を見る。どんな感じだろう…と楽しみに学校へ足を運んだ。

 1年生のクラスにて。
なにやら地域の方がシールを持っている。
地域の方が独自に持ってきてくださったのだろうか、それとも子どもたちからもらったものなのだろうか・・・。

その日に読む箇所を一通り読み終わると、子どもたちがシールを持っている地域の方のところに集まりだす。何が始まるのか?と見ていると、子どもたちが順番に、先ほど読んだ文章の「暗唱」を始めだした。しっかり暗唱をできた子は、音読用の冊子の表紙にシールをもらう。地域の方がもっていたシールは、「がんばって暗唱したね!」と認めるためのシールだったのだ。
 地域の方からシールをもらっている子どもたちの様子を見ると、非常にうれしそう。「見て先生、シール2枚目ゲットしたよ~!」という声には充実感がつまっていると同時に、「次もがんばるぞ~」という前向きな気持ちもあふれていた。

 橘小学校のほかに、同じく官民一体型学校である「武内小学校」「東川登小学校」でも、音読については似たような取り組みを行っている。ただ両校の場合は、「花まるタイム」の時間にやるのではなく、覚えられたと思ったら、校長室に行って、校長先生の前で暗唱をする。これも音読へのモチベーションを高めるやり方の一つだと思う。

 もちろん、「花まるタイム」の音読は「読んでいる文章・言葉を覚える」ために行っているものではない。根底にあるねらいは、「古来ずっと引き継がれてきている美しい文章・言葉に親しむ」ことと、「しっかりとお腹からハキハキと声を出すことで発散をする」ことである。この2つのねらいの達成に対して、モチベーション高く取り組むための材料の一つとして、「音読で扱ったものの暗唱 ⇒ 地域の方や校長先生の前で披露、認めてもらう」というやり方は、繰り返しになるが、非常にいいと思う。



 ただこのブログではこの音読への取り組みにスポットを当てたいわけではない。
 この暗唱については、もしかすると「うちの学校でもやっていますよ」というところがあるかもしれない。
 ※現に私が小さいころも学校でやっていた記憶がある。
 
 花まるタイム自体は、学校にとって新しい取り組みである。新しい取り組みだから、常に新しく・・・ということで目新しいものを取り入れようとすることももちろん大切だと思う。ただそれだけではなく、「これまでにやってきた取り組みと何かつなげることはできないか」と考えることも、取り組みの充実化への一手となるのだ。これまで学校にあった資源と、新しく入ってきた取り組みの融合である。

 例えば武内小では、音読と「論語カルタ」「百人一首カルタ」をコラボさせている。これらのカルタは、「花まるタイム」をやっていた取り組み。音読をさせてからカルタをやる、という取り組みをやり続けることで、以前よりも文章を覚えるスピードが確実に上がったという。実感値だけでなく、アンケートからも「学年で割り振られた箇所を全部覚えられました」という子は、以前よりも確実に増えていたというデータも出ている。

 学校教育の中でこれまでやってきたもの中には、練られて作られているものはたくさんある。それは、先生方が「子どもたちが意欲をもって取り組むためには…」という一心で考えてこられたから形になっているものばかり。それらを生かさない手はない。新たな視点が入ることで、より輝きを放つものはたくさんあるだろう。

ここで誤ってはいけないことは、「花まるタイム」で大事にしている花まるの考え方をぶらさないという姿勢である。
 
 ・場を作る側(大人)が子どもたちを先導する行動をとること
・短期集中、切り替えよく進めること
 ・遅い子に合わせるのではなく、全体の切り替えスピードを引き上げるつもりで進めること
 ・毎日繰り返すからこそ、「できたところまででOK!」
 ・「読み、書き、計算」+思考力という学習の土台を固めるプログラムを組むこと
主なものを並べたが、反復することで力をつけていける基礎基本の力を、子どもたちがマイナスな気持ちにならずに、しかし着実に身につけられるには…と考えて、花まるとして出した一つの形が「花まるタイム」だと思ってほしい。


そして、花まるの人間である私が研修や実践で伝えていることは花まるタイムのベースである。このベースに乗りながら、各学校で「こんなことができるのでは?」とアイデアが出てくることは大歓迎。さらに言えば、この先学校間で「取り組みの様子」から学び合える環境を作り出すことができれば…、と思い、現在模索中である。

2016年10月1日土曜日

第17話 Hの変化から (花まる:前原)

 「官民一体型学校」の一つである、とある学校の校長先生が、「最近、3年生のHが落ち着いてきたんだよね。」と話されていました。
 12年生のころは、相当なやんちゃな子だったH。元気が有り余って、少し落ち着きのないタイプだったようです。そんな彼が最近少しずつではありますが、落ち着くようになってきていると校長先生は話されていました。私自身、彼と関わるようになったのは今年度からですが、年度当初から比べてみても、落ち着いてきたと感じていたところです。

 もちろん、小学校にいる子どもたちは、日々目まぐるしく成長・変化をしていく時期を生きており、Hの変化も成長過程の一つだと思います。
 ただ校長先生や私の現場感覚では、Hの変化の要因として、「お母さんの存在」が一つあげられると意見が一致しました。

 Hのお母さんは、お仕事をされている方ですが、少し時間に余裕があれば、朝の「花まるタイム」に来てくださっています。家事、仕事と多忙な中で、それでも我が子が通っている学校の力になろうと、足を運んでくださる姿勢には、本当に頭が上がりません。
 また、朝の「花まるタイム」の前に必ずある「校長先生からの『朝のクイズ』」に、Hのお母さんは、「校長先生、こんなクイズどうですか?」と、問題まで作ってきてくださることもあります。
 ほかにも、定期的に行っている「青空協室」にも顔を出してくださり、子どもたちと一緒に活動に夢中になって楽しんでいる姿を見せています。
 これら学校の活動を積極的に応援してくださるHのお母さんの様子を、校長先生からHへと、直接話をしてくださっているとのことです。「今日もHのお母さんが、学校に来てくれていたよ!おうちでも『校長先生がありがとうと言っていたよ!』と伝えておいてね!」「今日のクイズ、Hのお母さんからのクイズだったんだよ!」など。伝えると、Hも少し嬉しそうにするそうです。自分のお母さんが学校に来てくれていることはもとより、学校の力になっていることは、実は子どもにとって、非常に嬉しいのでしょう。

 以前ある6年生の女の子がこんなことを言っていました。
 「授業参観もいいけど、『花まるタイム』にも来てほしい。」
 6年生の女の子も、心の底では自分の日々の頑張りを見てほしいし、見てもらえるだけで安心して頑張ることができるのでしょう。
お忙しい中、足を運んでいただき、本当にありがとうございます。

ここで、保護者の皆様が学校に来てくださることにより、期待できることについて、お伝えします。
 保護者の皆様が学校に足を運び、学校の活動に関わってくださる回数が少しでも増えることで、子どもたちの学校での頑張りを伝える回数が確実に増えると思っています。回数が増えることは、信頼関係の構築にもつなげることができます。結果、子どもを中心とした、学校と家庭のネットワークが確実に強固になり、信頼関係はより密になるはずです。もちろん今は電話、メールと連絡手段は様々ですが、それでも「面と向かって話す」ことで、安心感を作り出せることは言うまでもないと思います。
 
また、保護者の皆様が学校で聞いてきたことは、家庭でのコミュニケーションの種にもなります。学校での頑張りが、家庭内で子どもたちへとフィードバックされていくと、翌日の学校生活にもつながり、好循環を生みます。

保護者の皆様が、学校に足を運んでくださる回数が増えることによる好影響は、少しずつ芽が出てきています。その芽が少しずつ開き、子どもたちにとって、よりよい教育環境が作り上げられていくことを期待して、活動しております。