2016年9月15日木曜日

第16話 まず環境を作る、すると流れが生まれてくる(花まる:前原)

先日武雄市の「官民一体型学校」の一つでもある武内小の花まるタイム終了後、地域の方と話をしていた時、
「武内小には囲碁をするクラブはありますかね?」という質問を受けた。
 武内小では12か月に1回行われるクラブ活動の一つに、「囲碁・将棋クラブ」があり、直近の日程は10月の上旬。その話をすると、その方は「私は囲碁が好きでね、昔子どもたちに教えたことがあるんですよ!もし武内小にあればなぁと思っていたんですが…。・それでは10月のそのクラブに参加できれば!」とうれしそうな顔をされて帰っていった。

 質問をされた方が1人であっても、非常に大きなこと。地域の方とのやりとりから、地域と学校が、以前より近くなったことを肌で感じた。
 これまでは、花まるタイムが終わった後、地域の方が集まっている場で、「今度家庭科で裁縫をやるんですが、どなたかお手伝いできる方いませんか?」や、「明日の1時間目、3年生が国語の時間で発表の練習をするので、一緒に見てくれませんか?」と、学校の先生から地域の方へとお願いすることは何度もあった。
 ただ、今回は違う。地域の方から「参加してもいいですか?」と声をかけてくれた。これは、学校にくることの敷居が低くなり、地域の方も学校にどんどん足を運びやすくなってきたということの表れとも捉えられる。

 また、同じく「官民一体型学校」の一つでもある橘小学校。8月末、夏休みが明ける直前の登校日に「青空協室」を行った日があった。通常であれば、朝の花まるタイムの前後で、地域の方が部屋に集まった際に、「今度△月□日に『青空協室』があるので、ご都合よければぜひ来てみて、子どもたちの様子をご覧ください!」とお知らせしている。また来てくださる方には、事前に名前を書いていただいている。
ただ、8月末の「青空協室」についてお知らせをしたのは7月の半ばであり、記名をしてくださった人数は10人弱。しかも、その方々が覚えているかもわからない。どれくらいの人が参観にいらして、子どもたちと一緒に活動をしてくださるか…。

どもとのふれあいが増えることが、
次も足を運ぼうという気持ちにつながります。
 今回は地域の方で来てくださる方々は少ないだろうという、私の不安は見事に裏切られる。開始前に体育館に行くと、なんと30人ほどの地域の方が参観にいらして、青空協室に参加してくださったのだ。おそらく、誘い合わせてくださったのかもしれないが、それでも30人もの地域の方が、自然と子どもたちの様子を見に学校にいらして、見守ってくださる。活動中も子どもたちとコミュニケーションを取りながら、楽しそうにして、笑顔で帰られる方が多数いらした。

 「官民一体型学校」で行っている「花まるタイム」をはじめ、武雄では地域の方が学校に関わることがこれまでよりも増えてきている。
上記2つの話からも分かるように、学校と子どもに関わることが増えれば増えるほど、学校に足を運びやすくなり、ただ行くのではなく、子どもたちと学校で、また学校外でコミュニケーションを取ることが増えると、学校により行きやすくなる。
また、継続的に学校に行ける環境があり、繰り返し地域の方が学校に足を運ぶようになると、自然と「地域の方から足を運んでみる」という行為も次第に生まれてくる。



 子育ては保護者や先生だけに任せていてはいけない。口で言うことは非常にたやすいことです。ただ、それを行動に移すことが難しい。どんな行動をすればいいのか、どんな声かけをすればいいのか、そもそも今の子どもたちってどんな子たちなのだろうか・・・。

地域の方が学校に集まれば、自然と輪が生まれ、
取り組みへの意見交換が行われます!
 武雄市では、学校を舞台として地域の方が足を運べ、子どもたちと接する環境を作っている。少しずつではあるが、「よし、足を運んでみよう」という流れが生まれてきている。「来てもらう」ステップから、「地域の方が自ら足を運ぶ」新たなステップに入ってきている。着実に学校から、地域の子育てが変わりつつある。