2017年2月26日日曜日

第25話 「官民一体型学校、次のステージへ…」 



  毎年武雄市では、子どもたちが自ら考え、行動し、発表する「トムソーヤフェスティバル」が開催されています。具体的な発表内容は、郷土芸能の披露や活動発表など、子どもたちが地域の活動・学校で学んだことを披露します。

 今年はそのフェスティバルの中で、「武雄花まる学園大討論会」を開催しました。「武雄市の方々に、各学校での取組のことをもっと知ってもらいたい」という思いのもと、各町の校長、保護者代表、地域代表、児童代表に市長、教育長、花まるスタッフを交え、「官民一体型学校」の取組のこれまでと、これからの課題とその先について、討論を行いました。
 討論会は、「本当に子どもたちのためになるのだろうか?」「地域が学校に入ってよいのだろうか?」など、官民一体型学校スタート時の不安の声が出ましたが、今では子どもたちにとっても、そして町にとっても非常に影響力のある、良い取り組みであるいう声が各町から出て、各町が充実感を持って取り組んでくださっていることが伝わってきました。


  討論の終盤は、これからの課題とその先についての討論で盛り上がりました。
  「学校に来てくださる地域、保護者の支援員さん、もっと色々な人に来てほしい」
  「子どもたちが、継続的に『楽しく』『前のめりに』『確実に力をつけられるよう』な
    取組にするには、学校側も常に中身を検討していく必要がある」


 各町取り組みを継続する中で、すでに乗り越えてきた課題、今ぶつかっている課題が出てきました。共通の課題もあり、町独自の課題もあり…、でしたが、素晴らしいことに、話を聞いていると、「今こうやろうとして動いている(実際に動いた)」と、積極的に課題解決に動こうとする姿勢が、発表者の言葉から伝わってきました。
 少し話が逸れますが、討論会に臨む前、事前に参加者に向けてアンケートを採っていました。その中で、とある地区の保護者さんの内容の中で、印象的なものがありました。その内容をまとめると、
「花まるとの契約が10年で切れて、そこで終わりではもったいない。○小の花まるの維持・継続を花まる、市にばかり頼るのではなく、花まるの考えをベースに置きながら、○町バージョンを町独自の形に昇華していく方法を考えていくべきではないでしょうか?」
というものでした。
 
  これからの話をされる皆さんの様子や、上述の保護者の声からも、官民一体型学校は次のステージに上がってきていると、私自身は手ごたえを感じています。
  これまではトップダウンで決まった教育政策を、学校の中で固めていくことが先決でしたが、各町で一定の手ごたえを感じているからこその声なのではないでしょうか。
 これからは、この取組がトップダウンからボトムアップで進められ、各町の独自性をより強めていくことで、さらなる発展が見込めるようになってくるはずです。そしてその時期がすでに始まりつつあるとも言えます。
 「学校・地域・保護者」が一体となって、町の子どもの教育を考える体制が、言葉だけではなく、形として動きだしています。まさに「地域の子は地域で育てていく」スローガン通りのことが、武雄では実際に起こっています。

2017年2月18日土曜日

第24話 「自分で自分を励ます、認める」

 武雄の子どもたちが取り組んでいる計算教材「サボテン」の取り組み状況を確認することがよくある。
 子どもたちはどれくらい伸びているのだろうか、どこでつまずいているのだろうか…。取り組んでいる姿を見ることで分かる子どもたちの成長もあれば、取り組んだ成果を見て伝わってくる子どもたちの姿もある。それは単純に記録(正答数、タイムの増減)ではない。消しては書いて、書いては消して…、と繰り返したことが見て取れるページからは、「これでいいなんて思わずに、取り組んだんだなぁ」という様子が分かる。「確かめをしました」というチェックのしるしからは、「最後まで手を抜かずに、丁寧に確かめていたんだなぁ」という様子が分かる。どちらも、子どもたちの計算に対して前向きに頑張ろうという気持ちが表れている。

 その中で、少し変わっているが、しかし着実にサボテンで大切にしていることが染みついているのだなぁということがあった。
 2年生のサボテンを見ていると、K.Hのサボテンが目に留まった。
 以下の写真のように、毎日毎日自分の頑張りにコメントをつけているのだ。
 記録が伸びた日は、「昨日の自分に勝った!」と書いてある。


 

 ここまではよくある話。
 もちろん毎日記録が伸びることに越したことはない。ただ、その日の体調、気分、問題の数字の大小で、前回に比べて記録が落ちてしまう日もある。ほかのページを見ると、K.Hにもそんな日があった。
 ただ、驚いたことに、記録が伸びなかった日には、以下のようなコメントが書いてあった。



 「ざんねん、こんどはがんばるぞ!」と、自分で自分のことを励まし、明日につなげようとしているのだ。こんなことなかなかできることではない。思わず「すごいなぁ」とうなってしまった。
本人の中で切り替えて、「また明日も頑張ろう!」という前向きに終えることができると、後腐れなく次に移ることができる。「まぁこんなもんでいいでしょ」という軽い気持ちではなく、まずはしっかりと目の前のことに向き合いながら、それでいて、結果がどうであれ、まずは自分の頑張りを認める。自分の中で「今日も頑張ったなぁ」と思えれば、自然と明日も頑張ろうという気持ちにもつながる。

サボテンで大事な「前の自分に勝てるよう、日々頑張る」という学習哲学が、K.Hの中で着実に育ってきている。

2017年2月14日火曜日

第23話 「学校に秘められた可能性」(花まる:前原)

先日、ある保護者と話しているとこんな話が出てきた。

 

「私は、花まるが始まってから、朝の花まるタイムに都合のつく場合はなるべく顔を出し、あと他の学校のサポートにも入るようになってから、家庭の雰囲気も良くなっているんですよね~」
 
 非常に興味深い一言だったので、深く掘り下げてみると、
 「もともと別のパートをやっていたんですが、その時は小学校に関わることはほとんどできなくて、上の子も割とほったらかし状態だったんです。『手のかからない子』だったこともあって、それに甘えていました。ただ、手のかからない娘だったんですが、高学年になったときくらいから、その上の子と関係が悪くなって…。ほとんど口も利かない状態だったんです。最近は仲が良くなったんですが、『実は56年の時、お母さんのこと嫌いだったんだよね~』とカミングアウトされたんですよ!娘も忙しそうな母を見て、『なんか今話しかけてはいけないんだなぁ』気を遣ったんだと思います。 
でも、今は学校に行く中で、いろんな子と接したり、様々な保護者の皆さんとも話したりするようになって、なんか自分も変わってきたなぁと思っていました。『最近は丸くなったよね』って娘も言ってくれて…。今の学校への関わりをスタートさせてから、いろいろいい方向に変わってきています。」 


 学校に来ると、子どもたちと触れ合ったり、また色々な保護者と話が出来たりし、結果そのお母さん自身の人生が豊かになる。花まるをきっかけに、町の色々な人が学校に足を運べるチャンスが増えることは、実は町の人の生活そのものをより豊かにする可能性を多く秘めているのかもしれない。